コンサート報告
生の音は,どうなんだ
有料コンサート結果報告
 
ドレスデン国立
 

 ドレスデン国立歌劇場
 

 リヒャルト・ワーグナー
 「タンホイザー」
 3幕のよるロマンティック・オペラ
 
 指揮  ガボール・エトヴェシュ
 演出  ペ−ター・コンビチュニー
 舞台美術  ハルトムート・マイヤー
 衣装  イヌス・ヘルテル
 合唱指揮 マティアス・ブラウアー

 領主ヘルマン−−−ハンス=ペ−ター・ケーニヒ
 タンホイザー(ヴァルトブルクの騎士)−−−ロバート・ギャンビル
 ヴォルフラム−−アラン・タイトス
 ヴァルター−−−マルティン・ホムリッヒ
 ビテロルフ−−−ゲオルグ・ツェッペンフェルト
 ハインリッヒ−−−トム・マーティンセン
 ラインマール−−−ミヒャエル・エーダー
 エリーザベト(ヘルマンの姪)−−−アンネ・シュバンネヴィルムス
 ヴェーヌス(ヴェーヌスブルクに住む快楽の女神)−−−エヴリン・ヘルリツィウス
 羊飼いの少年−−−クリスティアーネ・ホスフェルト
 小姓T−−−ベアーテ・ズィーベルト
 小姓U−−−ウーデ・ズィークムント
 小姓V−−−バルバラ・レーオ
 小姓W−−−クラウディア・メスナー
 
※指揮者は9月に音楽監督に就任したばかりのファビオ・ルイジの予定でしたが,
芸術的観点から???ガボール・エトヴェシュに変わりました。また,ヴォルフラム
役のオラフ・ベーアが急病のため,来日中止となり,アラン・タイトスが代役です。
 

2007年11月10日(土) PM3:00開演

神奈川県民ホール

ドレスデン国立
Hanszackメモ

・楽器編成
 左手にvn12プルト+1=25丁と言う変形です。vnT@13+vnU@12?
右手前にヴィオラ4プルト+1=9丁?中央奥にチェロ4プルト=8丁,
左端奥にコントラバス7,vnの左に木管群,左端奥にホルン,そのやや
中央よりにハープ1,左端手前に長物のスタンドがあり,後でバスクラリ
ネットとわかりました。スコアにあったっけ?
 右に金管群,右端にティンパニ,カスタネットなどの打楽器群。
 中央にプロンプト装置の出っ張りがあり,その脇にテレビカメラ,ハープ
にはショックマウントに設置されたマイク。
 今回,vn,vaが奇数編成というのを始めて見ました。狭いピットに対応
したのでしょうか?でも,ベルリン国立はもっと大編成でしたが???
なお,スコアは持っていませんが,レコードやDVDの解説書にはバスクラ
リネットはのっていません。ピッコロ1(2),フルート2(4),オーボエ2(4),
クラリネット2(6),ホルン4(12),トランペット3(12),トロンボーン3(4),
チューバ1,ティンパニー2,トライアングル1(1),シンバル1(1),タンブ
リン1(1),ハープ1(1),弦楽合奏,イングリッシュ・ホルン1(1),(括弧
内は舞台上の楽器編成)となっており,バスクラリネットは出てきませんし,
ファゴットがありません!楽曲解説で,第3幕第1場,エリーザベトの祈り
のところで,’効果的なバス・クラリネットの使用’と書かれており,混乱の
極みです。(ハイティンク指揮バイエルン放送響のレコード,渡辺護氏の
解説より)また,舞台上にそんな大編成の楽器上がっていないようです。
歌合戦の場面でペットが8本位です。
 オケピット背面壁には,黒い幕が貼ってありました。この辺が音にどう
影響するのでしょうか。本当の目的は吸音ではなく,光の反射防止?
 

・楽譜など
 楽譜は,印刷されたものでした。vnTのパート譜は,第2幕の終わりに楽譜
のはり紙があり,第3幕の楽譜まではみ出しており,これをめくりながら演奏し
ていたようです。また,この歌劇が初演されたドレスデン国立歌劇場の公演な
のに,ドレスデン版ではなくパリ版が使われております。これも小生的にはブ−
です。ブルックナー程では無いにしても,タンホイザーは版の問題が複雑なの
でしょうか。弦楽器はベルリン国立などと比べて,男性が多いです。
 

 
 
 

プログラム表紙
0.プログラム表紙

 1階席奥の左寄りでした。先月のベルリン国立より数列前,やや中央よりでした。これでもS席です。
 

タンホイザー第1幕
1.第1幕

 前奏曲はクラリネットの弱音で始まり,
チェロなど弦楽が加わってトロンボーン
のフォルテッシモに高弦の16分音符が
装飾風に(結構難しい?)加わりますが,
ベルリン国立と比べて,一部管が突出
することなく,全体が調和していました。
 また,楽器配列が普通なので,高弦が
横に広がっていました。

 指揮者は未知のガボール・エトヴェシュ
で,どんな指揮するのか心配でしたが,
速からず遅からず,堂堂としたテンポで,
立派でした。ファビオ・ルイジだったら超
速爆演だったでしょう。芸術的理由って
このこと?

 残念ながらパリ版のため,ヴェーヌス
の音楽からバッカナールに突入し,切
れ目なく第1幕第1場に入ります。この辺
は後期の楽劇風にアレンジし直したところ
なのでしょうが,ドレスデン版の序曲も秀
逸で単独で聴くなら絶対にドレスデン版で
す。バッカナールなど蛇足もいいところで
す。

 ヴェーヌスの場面は,赤い妖精たちが
でかい人形を持ってすべり台のような
中央の高いところから降りてきます。結構
太め(失礼)の妖精もいて,動くのが大変
そうでした。ペーター・コンビチュニーの
演出にしては,まともなほうかと。狂う前の
初期の演出のようです。

 第3場のヴァルトブルクの見える谷では,
シャルマイ(イングリッシュ・ホルン)が活
躍し,この辺は後のトリスタンを暗示する
ような作風です。

 タンホイザー役のロバート・ギャンビル
は長髪の太ったヤンキー風で,声も荒々
しく,好みではありませんが,大役を歌う
だけあって,スタミナはあるようで,最後
まで持ちました。
 声楽全般では,家のDVDで聞いていると
激しくこもりがちで,生はどうなのかというと,
視覚的に音源が小さく,音像も小さく感じま
すが,目を閉じて視覚を遮断すると,それ
ほど音像がはっきりしませんでした。
 

タンホイザー第2幕
 2.第2幕

 第2幕では,歌合戦が見所,聞き所です。
舞台奥,斜賂のような所にバンダがペット8本
で登場です。タンホイザーがヴェーヌスに行っ
ていたことをカミングアウトしてしまい,大変な
おしかりを受けてしまうのですが,そんな,あ
ほなことしなければ良いのにと思ってしまう
小生は凡人なのでしょうか。どうも,ワーグナ
ーのシナリオはわかりにくいです。

 後半は,各登場人物に歌があてがわれて
おり,見せ場を無理に?作っているようにも
思いますが,音楽は緊迫感があり,悪くあり
ません。

タンホイザー3幕
3.第3幕

 第3幕はエリーザベトの祈り,ヴォルフラム
の夕星の歌などが聞きどころです。
 それにしてもエリーザベトの死因が分かり
ません。祈りながらお亡くなりになったのでしょ
うか。日本流に言うと即身仏かと。

 巡礼は,ぼろぼろの格好で,うなだれて登場
しますが,音楽は勇壮で視覚と音がミスマッチ
です。この辺もワーグナーの分かりにくさかと。

 最後にヴェーヌスが登場する場面は音楽も
複音楽的になり,緊迫感があって後期のライ
トモチーフ満艦飾の楽劇チックで良いです。

 最後に巡礼の合唱にトロンボーンが重なって
来ますが,この組み合わせで,トロンボーンと
合唱の音量バランスがどうなのか興味があり
ました。というのは,レコード芸術9月号で,バ
イエルン放送協会に残されたフルトヴェングラ
ー指揮バイロイト祝祭管の1951年7月29日の
ベートーヴェン第9について,EMI盤と比較した
記事の中で,金子建志さんが,バイエルン盤は
第4楽章595小節からの「抱きあえ諸人よ」にお
けるトロンボーンが合唱を凌駕してフル・ヴォ
リュームで突き抜けてくる,と書いていますが
数十人いる合唱を高々3本位のトロンボーンが
凌駕するのか,疑問がありました。音域もおお
むね重なっていると思われますので,なおさら
疑問でした。生で聞いた結果,(第9ではありま
せんが)トロンボーンははっきり聞こえます。
楽器というのはダイナミックレンジが大きく,
弱音も強奏も自由に調節出来るのに比べて,
人間の声は強弱の幅が小さいのかと。
また,人数に比例して大きく聞こえるものでは
無いのでしょう。音圧を表すデシベルは対数
表示ですし。

4.音質その他

 ドレスデンの音は,2004年にシュターツカペ
レ・ドレスデンのブル8を聞いていますが,オケ
ピットに入った音も同じ傾向で,ある楽器が突
出することなく,全体のバランスがすばらしい
です。第1幕のところでも書きましたが,オケ
の音は横に広がるところが,小生の家の環境
と大違いかと。家のフロントスピーカーの感覚
は1mちょっとしかありません。(ーεー)ボソッ
部屋が狭いので,感覚は広げられないので,
少し外振りにしようかと思います。キャスター付
きスピーカー台を自作したので,ぎっくり腰にな
らずに可能かと。(ーεー)ボソッ
 
 

ドレスデンバッグ
 

 帰りにバッグをゲット。ちょっと派手?
 
 
 
 
 
 

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