レクイエム「ああ此の涙をいかにせむ」
古関裕而歌曲集−2

ソプラノ;藍川由美

ピアノ;斎藤京子

録音;1997年5月6日〜7日 日本コロムビア第1スタジオ

マスターソニック20ビットレコーディング

収録曲
    一 露営の歌
    二 愛国の花
    三 婦人愛国の歌
    四 暁に祈る
    など,十六曲
     

 一曲めの,露営の歌から,鬼気迫る歌唱
で,カール・リヒターのマタイ受難曲並みの
悲痛さで,全編,貫かれております。藍川女
史の,古関裕而もの2枚目で,学術的な,
深い研究の成果でもあります。作曲者自身
の言によれば,これらの曲は軍歌ではなく,
戦時歌謡だそうです。こういった曲を,よぼ
よぼのおじいちゃん(失礼)ではなく,本格的
ソプラノ歌手によって,聞けるのは,すばら
しいことです。
 いずれ,藍川女史には,軍歌も戦時歌謡
も含めて,大日本帝国歌曲大全集を,CD
40枚になっても良いですから(商業的には
無理?),出してほしいものです。
 録音の方は,残響の少ない近接録音で,
わりとさっぱりしております。
 

オーディオの歌(露営の歌のメロディーでお願いします)

オーディオする身はかねてから〜
捨〜てる覚悟でいるものを〜
鳴〜いてくれるなツイーター
グレードアップのためならば〜
な〜んのお金が惜しかろう



 
 

アンプは幾萬(敵は幾萬のメロディーでお願いします)
 

アンプは幾万ありとても〜
す〜べて烏合の勢なるぞ〜
烏合の勢にあらずとも〜
球に正しき道理あり〜
トラン〜ジッスタッ球に〜勝〜ちがたく〜
玉は石にぞ勝栗の〜
堅きハ〜ムの一徹は〜
石に矢の立つためしあり〜
石に立つ矢のためしあり〜
な〜どて恐るる事やある
などてたゆとう〜事やあ〜る〜
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 藍川由美 日本の心を歌う

ソプラノ 藍川由美
ピアノ 安宅 薫

2001年4月28日(土)
神奈川県立音楽堂

1.翻訳唱歌
  見わたせば〜むすんでひらいて
    ほか全5曲
2.和製唱歌
  花
    ほか全5曲
3.童謡
  十五夜お月さん
   ほか全5曲
<休憩>
4.古賀メロディ−
  影を慕いて
   ほか全4曲
5.古関裕而
  船頭可愛や
   ほか全5曲
6.橋本国彦
  舞〜六代目菊五郎の娘道世寺によせて
 
 

 新星堂というレコード店を,うろついていた
ら,ポスターがあったのと,近いし,CDも持っ
ているのでオーディオ装置のチェックには持っ
てこいということで,早速行ってきました。
 県立音楽堂に1時30分ごろ到着すると,老
人会の集まりか?と言うほど,高齢の観客で
にぎわっておりました。会場のロビーでは,藍
川女史のCDが,新星堂により売れられており,
かなりの人気です。
 席を確認すると,前から15列左から8番目
です。時間があるので,ロビーをうろつく。軽
食とワインなどを販売している。サンドウィッチ
と烏龍茶を注文する。藍川女史の経歴と著作
物の展示を見る。
 2時ごろ開始。使用ピアノは何か,休憩中は
照明が暗くて分からなかった。ステージが明
るくなったが,直線距離で10m位離れている
ので見えない。オペラグラスを持ってくるべき
だったか?
 藍川女史はクラッシックの世界では若手で
すが,何せCDジャケットなどは平気でうん年
前の写真を載せたりしますので,若干の心配
がありましたが,それは杞憂だったようです。
青や紫を使った派手な衣装で登場。ふっくら
した色白な人です。ピアノが最初の音を小さ
く出した後,手を前に出して,まるで自分を指
揮するように,無伴奏で「むすんでひらいて」を
歌いだす。うまい導入だと思いました。2番
からピアノが伴奏しましたが,若干,声がフラ
ットしていたようです。
 7曲目の「荒城の月」では,かなり高音があり,
エネルギーを使い果たしはしないかと,はらは
らしました。何せ,ソプラノのリサイタルですか
ら,休む暇が無いのです。多分,全力はまだ出
していないのでしょう。
 家で聞いている前記CDと,音を比べてみると
声楽はまあまあ,いい線だとおもいました。ピア
ノは,家の音と比べると,音像が巨大で,しかも
クリアーな感じがしました。目を閉じて聞いてみ
ると,リヒテルの平均律クラビーア曲集第1巻の
ような音です。弱音ではもやもや,フォルテでは
明瞭という感じです。ピアノは全くわからないの
ですが,ソフトペダル?を踏みっぱなしなのか?
低音部は床などを伝わって響いてくるので,音
源がどこかまったくわからない感じです。
 ピアノの蓋は,かなり開いているので驚きまし
た。ヴァイオリンのリサイタルでは,ほとんど閉
じるか,申し訳程度開くのが,普通です。帰りに
近くまで寄って確認すると,ピアノは「スタインウ
ェイ & サンズ」で,突っ張り棒(ストラット?)
は,蓋の上から2〜3番目の所に引っかけてあ
りました。ソプラノ歌手の声量は,ピアノの強奏
もマスクしてしまうほど,すごいものなのか?
 45分位で前半が終了し,20分の休憩をはさ
んで,後半開始。打って変わり,黒のワンピー
スに紫柄のスカーフを羽織って登場。古賀メロ
ディーの「人生の並木道」では,出だしを間違っ
たようで,やり直しをしていましたが,ワルキュ
ーレで述べたように,何も無かったかのように
途中で合わせれば良かったのではないでしょ
うか?私は,この曲を知らないので,多分,分
からなかったでしょう。
 古関裕而の「イヨマンテの夜」では,かなりの
音量を出す。残り3曲なので,この辺にクライ
マックスを持ってきたのか?
 古関裕而が終わると,一旦袖に戻り,最後に
橋本国彦の「舞」をやる。これは現代音楽とい
うか,無調性やかたりの部分があり,演奏を間
違っても誰も分からない音楽でした。ピアノも
超絶技巧的で,思いっきりフォルテで弾くが,
藍川女史の声は,それをマスクして主役を堂
々とはっている。目を閉じて聞くと,耳のリミッ
ターが働き,びりびり言うのがわかりました。
これほどの強音でありながら,全く自然でうる
さく無いのは,さすが生で聞く,プロの音だと
思いました。
 拍手の後,2回ほどカーテンコールに答えて
終わり。アンコールなし。お二方とも,かなり高
いハイヒールをはいているのに驚く。歌手は,
ふんばりが利くのか?ピアニストは,ペダルを
踏み間違えないのか?
 声楽家の声帯ってどうなっているのか?コン
プレッションドライバーなのではないか?何パ
ーセントぐらいの力で歌っているのか?謎が
つきないコンサートでした。次回は,8月6日
東京文化会館で行われる,藍川由美「古関
裕而を歌う」へ,行ってみようか?
 家に帰って,早速CDをかけてオーディオ装
置をチェック。声楽は家でもいい線行っている
と思いましたが,やや平面的。トランジェント不
足か?ピアノは明らかにスケール不足。BASS
を持ち上げようか?神奈川県立音楽堂は,木
のホールで,残響が多いので,CDと録音環境
,マイクセッティングが違い過ぎるので,この位
で良しとするか?迷いは深まるばかり。
 以上,オーディオ的コンサート鑑賞記でした。
 
 

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