古便ってどうよ?
 
 下のプレイボタンでBGMスタート
 
 STOPボタンで中止

 グスタフ・ハインリッヒ・エルンスト
・マルティン・ウィルヘルム・フルト
ヴェングラー略してウィルヘルム
・フルトヴェングラーもっと略して古便???
 とうの昔に亡くなった指揮者ですし,モノ
ラルの古い録音しか残していないのに人
気ありますよね。小生もバイロイトの第九
ではまった口で,特定の曲で古便以外は
聞けなくなりました。
 でも,古便の演奏についていろいろと書
かれていますが,自分の感覚とは違和感
があります。その辺を少しづつ書いて見た
いと思います。
 

 良く聞く批判は,

1.テンポが動きすぎる
2.楽譜に忠実でない
3.即興的

 などです。
 1はそのとおりですが,当時,そんな演奏は当たり前で,ワイン
ガルトナーの著書を読むと,ハンス・フォン・ビューローなどめちゃく
ちゃたたかれています。これはその時代の演奏スタイルで,現代人
が受け入れるかどうかの問題です。要は好みの問題で,どっちが正
しいかの問題ではありません。
 今回話題にしたいのは2です。テンポが動くということは楽譜に忠
実でないとも言えますが,ライバルだったトスカニーニ達が楽譜に
忠実かというと,疑問があるのです。

 付点音符の問題
 クラッシックの特に古典派の音楽を演奏するうえで重要なのは,
付点音符を正確に演奏できるかどうかです。断言します。これが
正確だと引き締まった音楽,あるいはスイングするような?華麗
な音楽になります。以下に,有名なベートーヴェンの第5交響曲の
第2楽章を例にとって,具体的に説明します。
 この部分は,木管・金管楽器の付点音符のファンファーレ風の
旋律を,弦楽器が3連音符で修飾するような箇所です。
 

 下のプレイボタンをクリックしてみてください。 
a)の演奏

使用楽譜;全音楽譜出版社 1953
第2楽章31〜37小節

 いかがですか?
聞き取りにくいかも知れませんが,楽譜に忠実に演奏すると
管楽器と弦楽器は微妙にずれます。

 ここで,管楽器の付点音符が伸びきらず,3連音符になると
弦楽器と重なります。

下をプレイボタンをクリックしてみてください。 
b)の演奏

 
 何かだらけたような,伸び切ったパンツのゴム
みたいですね。実はこういう演奏が多いのです。
(←勝手に決めつけ)この部分はテンポが遅いの
ではっきり聞き取れますが,その他のテンポが速
い部分でも,同様な傾向があります。ベートーヴェン
も意地悪な曲を書きましたね。

 では,有名な指揮者の録音から,どの演奏に近
いかを自分なりに分類してみます。

・フルトヴェングラー・ウィーン・フィル
  1954年2月28日,3月1日録音 ウィーン ムジー
  クフェラインザール EMI TOCE-3004
 テンポが遅いせいもありますが,はっきりa)の演奏
に聞こえます。かなり付点音符を意識した演奏です。

・トスカニーニ・NBC交響楽団
  1952年3月22日,NBC放送録音,カーネギー・ホール
    BMGジャパン BVCC38020 
 a)で始まり,b)で終わる演奏です。推測すると,弦が
リタルダンドかけているのに,管がインテンポで行って
しまった,あるいは管がアッチェレランドかけたのに,弦
がインテンポで行ってしまったのかも知れません。きびき
びした正確な演奏という先入観がありましたが,細かな
付点音符の長さなどどうでもいいのかも知れません。(ーεー)ボソッ

・ワルター・コロンビア交響楽団
  1958年1月27,30日録音,ハリウッド
  SONY classical SRCR1728〜32
 録音が残響が多く,もやもやしていてはっきりしませ
んが,非常に遅いテンポで完全にa)で演奏しています。

・ジョージ・セル・クリーブランド管弦楽団
  1963年10月11,25日録音 録音場所不明
  CBS/SONY LP 13AC71
 トスカニーニと全く同じで,a)で始まりb)で終わっています。
ひょっとすると,メリケンではこれが標準的な解釈として,伝統
があるのかも知れません。(←じゃ,ワルターは?ヽ(`Д´)ノ ウワァァン!!)
 
 
 

 次は,2重付点音符で比較する予定です。ブルックナーの
交響曲です。
 乞うご期待!
 
 
 
 
 
 
 
 

オーディオトップもどる