コンサート報告
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東京シティ・フィル オーケストラル・オペラX
     R.ワーグナー
    「ローエングリン」

指 揮:飯守泰次郎
演 出:鈴木敬介

ハインリヒ王・・・鹿野 由之
ローエングリン・成田 勝美
エルザ・・・・・・・緑川 まり
ゴットフリート・・大   雅
(黙役)
フリードリヒ・・・島村 武雄
オルトルート・・小山 由美
王の軍令使・・・成田 博之

4人のブラバ
ントの貴族・・・・中村元信、大久保 憲、東嶋正彦、大澤恒夫
4人の小姓・・・宇田川かおり、渡辺恵津子、丹波智子、磯地美樹

アンダースタディ・池田香織(オルトルート)

合唱・・・・・・・・洗足学園音楽大学・学園創立80周年記念合唱団

協力演出・・・・・二期会合唱団

合唱指揮         四野見和敏 常森闘志
副指揮          城谷正博
副指揮・プロンプター  角野鋼亮
副指揮          大河内雅彦

字幕            三宅幸夫
 
 
 

平成16年9月11日(土) 14:00開演

東京文化会館大ホール
 

Hanszackメモ

・楽器配置など
左からvn1,vn2,チェロ,右手前にヴィオラ
右奥にコントラバス×8のストコフスキー型標準です。
本数は分かりませんでした。

木管,金管は見えず,トロンボーンの朝顔だけ見えました。
ハープは左奥,打楽器は中央奥
 
 

 

↑これは2003年の「神々の黄昏」の写真

 1階5列,やや右寄りですが,まあまあの席で
した。上写真でわかるように,オーケストラがピット
に潜らず,上で演奏しながら奥の舞台で歌手が
演じます。東京文化会館は立派なピットがあるの
に,わざわざ塞いでいます。
 

今回の収穫

1.合唱が力強かった。
2.木管が美しかった。
3.小山由美さん切れ味鋭かった。
 

1.についてですが,洗足学園音楽大学・学園
創立80周年記念合唱団ということで,特に期待
してませんでしたが,力強くきれいに響いていま
した。
2.についてですが,オケが上に上がっていた分,
低音は良くなかったため,木管楽器の美しさだけ
印象に残ったのかも知れません。
3.についてですが,第2幕でいきなり出番が出て,
声の透明感,浸透力がすごく,声だけで演技でき
ているように感じました。メゾソプラノのように,女
声の低い声は聞き映えがしないものです。ベルリ
ン国立のリングでワルトラウト・マイヤーのジーク
リンデやワルトラウテ,読売響のパルシファルで
ペトラ・ラングのクンドリーも聞きましたが,あまり関
心しませんでした。小山さんのクンドリー是非聞いて
見たいです。
 

その他諸々

第1幕
 開演直前に奏者が入場,コンマスが立ってオーボ
エのAに合わせてチューニング。前奏曲はvnの超
ハイポジションの連続で,10分位続きます。vn1,
2の第1プルトは,ディヴィジで一般奏者よりさらに1
オクターブ上の駒に近いところを弾かされています。
内心では,こんなの弾けるかよ,ワーグナーのヴァカ
と思っているのでは?
 飯守氏の指揮は流麗で,さっそうとしたテンポです。
しかし,痩せているので体力もつのかな?
 合唱団は,第1幕,立ちっぱなしでかわいそうでし
た。演出家は演奏者の体力・集中力など眼中にない
のでしょうか。
 また,舞台上のラッパは折り曲げの少ないトロンボー
ンを伸ばしたようなトランペットで,音量は大きかった
です。
 白鳥は,上から白い布が吊るされたもので,でかい
ワンタンの皮みたいでした。カーテンコール無しで終了。
第2幕 
 第2幕は舞台袖に譜面台が左右それぞれ3台立て
られ,ペットが最後に登場しました。コンマスの左のvn1
奏者,途中で帰ってしまいました。舞台袖の譜面台を倒
してしまいそうな勢いでした。第2幕は楽器を置いて行き
ましたが,第3幕は楽器も片づけてしまいました。急病か,
第1幕しか練習していなかったのか,高いヴァイオリンを
買ったけれど借金取りに追われているのか謎です。コン
マスが一人で譜面めくっていました。
 静かなところでプロンプターの声が聞こえました。初
めての体験です。副指揮者は舞台中央最前面で,一定
のテンポで棒を振っていました。その左に合唱指揮者
か,舞台上のラッパの指揮者がいて,赤いペンライトを
振っていました。
第3幕
 第3幕は,舞台袖の譜面台が最初からありました。
最後の白鳥の動機では,vn1,2の第1プルトは,第
1幕前奏曲と同様にディヴィジで超高音を弾きますが,
1人減ってしまい,音が寂しかったです。ああいう場合,
次席奏者が一人づつずれることはできないのでしょうか?
 それと,プログラムによると,vn1奏者は9人で,コン
マス2人,客員コンマス1人を加えても12人しかいません。
エキストラを雇っているのでしょうか?
 今回の上演はノーカット版ということで,ローエングリン
の名乗りの後,カットしないで演奏していましたが,音楽的
に若干,冗長な感じがしました。バイロイトでもカットしてい
るそうなので,必要ないかも。
 最後,若干悲劇的に終了,パッピーエンドにできなかっ
たのかと言う声が,聞こえるような。

オーケストラル・オペラについて
 長所
A.オケが上に上がっているので,オケが手を抜け
 ない。
B.オケが何をしているかよく見える。ワーグナーの
 複雑・長大なスコアをちゃんと弾いているのが,舞
 台上の歌手と対比ながらわかる。
 短所
C.オケや指揮者がじゃまで,舞台がよく見えない。
D.東京文化会館の場合,せっかく音の良い立派な
 ピットがあるのに,上に上がって音がすかすかにな
 る(個人的好みですが)。
 

休憩時間等について
 今回は,休憩時間が20分と短かったため,飲み物
等を飲むのも大変でした。ハーゲンダッツの抹茶アイス
を食べていたら,開幕のブザーが鳴ってしまい,あわて
て飲み込み,お腹が苦しかったです。せっかくのオペラ
ですので,幕間も楽しみたいです。あと,東京文化会館
は,良い方ですが,この手のホールは休憩場所が狭く,
夏の湘南海岸状態になってしまいます。音の響きも大事
ですが,オペラを見るには休憩時間を楽しむ空間が,必
要です。ホールを建てるときには,収益性もあるのでしょ
うが,是非,このことを考慮して頂きたいと思います。
 
 

 次回は,みなとみらいホールの,神奈川フィルのブル9
に行く予定です。乞うご期待。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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