楽劇四部作連続上演
速報!!!
生の音は,どうなんだ
 リヒャルト・ワーグナー
 「ニーベルングの指環」
 
 

 序夜「ラインの黄金」
 
 指揮  ダニエル・バレンボイム
 演出  ハリー・グプファー
 
 ヴォータン−−−ファルク・シュトルックマン
 ドンナー−−−アンドレアス・シュミット
 フロー−−−ロバート・ギャンビル
 ローゲ−−−グレアム・クラーク
 アルベリヒ−−−ギュンター・フォン・カンネン
 ミーメ−−−ペーター・メンツェル
 ファーゾルト−−−ルネ・パーペ
 ファフナー−−−ドゥッチョ・ダル・モンテ
 フリッカ−−−ローズマリー・ラング
 フライア−−−カローラ・ヘーン
 エルダ−−−メテ・アイシング
 ヴォークリンデ−−−カローラ・ヘーン
 ヴェルグンデ−−−カタリーナ・カンマーローアー
 フロスヒルデ−−−アンドレア・ベーニッヒ
 

ベルリン・シュターツカペレ
 

平成14年1月16日(水) PM6:30開演

神奈川県民ホール
 

Hanszackメモ

・楽器編成
第一ヴァイオリン16(左手前)
第二ヴァイオリン12(右手前)
ヴィオラ12(右奥)
チェロ12(左奥)
コントラバス8(左端)
中央奥に木管,右に金管,打楽器,右奥にハープ6台!
ホルンは,ワーグナーチューバ持ち替え。

 第二ヴァイオリン以外は,ワーグナーの指定通りという
大編成です。
 

・楽器,楽譜など
統一直後のベルリン国立歌劇場は,旧東ドイツ系で,楽譜は
手書きでした。今回はさすがに,楽譜は,印刷されたものでし
た。
 


 


0.プログラム表紙

 席は,毎回違いますが,ほとんど同じで,ライ
ンの黄金は,1階奥の25列,左から36番めと,
まあまあの席です。歌手の口が耳の高さと言っ
た感じです。オーケストラはもちろん見えません。
すべて間接音です。指揮者のバレンボイムの頭
と,指揮する手が見える程度です。

 
 
1.序夜「ラインの黄金」全4場

 とても目を楽しませてくれる舞台装置でし
た。巨大な木の根っこを張り巡らし,複雑な
テクスチャー,で関心しました。この木の根
は,第1場と第3場に使われます。ラインの
乙女達は,木の根の上からずり落ちてアル
ベリヒをからかっていますが,上の方は角度
が急で,歌いながらこういうことをやるのは
相当,大変だと思いました。
 第2場と第4場は,格子状のものが奥にあ
り,これがネオンで,エルダの場面,虹の掛
け橋の場面などできれいに光りました。
 NHKホールで聞いた「トリスタンとイゾルデ」
より,席が舞台に近い事もありますが,同じ
設計者とはいえ,神奈川県民ホールは音に
格段の力があります。
 第3場の間奏では,アッチェレランド気味に
テンポが上がり,熱演でした。金床は,打楽
器奏者が演奏しているようでしたが,オケピッ
トを確認するのを忘れました。最後のライン
の乙女の嘆きは,舞台前面天井近くのホーン
型スピーカー3チャンネルから出ているように
聞こえました。
 声楽は常にフォルテといった感じで強く聞
こえましたが,オーケストラは非常にダイナ
ミックレンジが広く,弱音部ではやっと聞こえ
る位ですが,金管や打楽器が強奏すると,
破壊的な爆発になり,すべてをかき消す,と
いったあんばいです。
 金管,特にトランペットは自分のでかい音で
他の楽器が聞こえないのでしょう,弦楽などと
ずれる場合がありました。
 以前,リングを初めて生で,同じ神奈川県民
ホール,席も似たような1回奥で聞いた時,低
音の豊かさに関心しましたが,今回はそうでも
なかったです。自宅の装置が低音だぶつき気
味になったのと,小生の老化で耳が衰えたの
かも知れません。全体に,自分の装置の中高
音不足を感じました。しかし,生の超低音はす
ごいです。ティンパニの強打等で,背中が振
動するのがわかりました。
 
 
 
 
 

2.第1夜「ワルキューレ」
 
 指揮  ダニエル・バレンボイム
 演出  ハリー・グプファー
 
 ジークムント−−−ロバート・ギャンビル
 フンディング−−−ルネ・パーペ
 ヴォータン−−−ファルク・シュトルックマン
 ジークリンデ−−−ワルトラウト・マイヤー
 ブリュンヒルデ−−−デボラ・ポラスキ
 フリッカ−−−ローズマリー・ラング
 ヘルムヴィーゲ−−−カローラ・ヘーン
 ゲルヒルデ−−−インガ・フィッシャー
 オルトリンデ−−−マグダレーナ・ハヨショバ
 ヴァルトラウテ−−−ローズマリー・ラング
 ロスヴァイゼ−−−シモーネ・シュレーダー
 グリムヒルデ−−−クリスティアーネ・ヒームシュ
 シュヴェルトライテ−−−アンドレア・ベーニッヒ
 ジークルーネ−−−ビリャーナ・マッテーヴァ
 

ベルリン・シュターツカペレ
 

平成14年1月17日(木) PM4:30開演

Hanszackメモ

・楽器編成,マイクセッティング(モニター用
?)など
ハープは5台に縮小,代わりに小太鼓追加。
一応,マイクは第1ヴァイオリンの第2,第5
プルト手前,同じく第2ヴァイオリンの第2,
第5プルト手前の左右対称に,4本,上向き
設置,バレンボイムの正面にテレビカメラ,
これは舞台裏に中継するやつか?その他
に,3階床下から固定マイクが,昆虫の触
角のように突き出していました。

 今回は,座席が前から24列,左から13番
目です。全幕,格子状の背景は共通で,ま
ん中のオブジェ等を,変えています。上下,
左右,前後を目一杯使った舞台の巨大さに,
圧倒されます。ここでは,もっとも退屈な?
第2幕をご紹介しましょう。第2場でヴォ−タ
ンが,「das Ende」(終末だ)と歌って,槍
を床に突くと,大音響とともに,トネリコの木
らしきものが落下するのです。舞台が壊れ
た!と思いました。ここは指輪で一番眠くな
るところですので,ハイドンの驚愕交響曲よ
ろしく,観客の眠りを覚ます,いかした演出
なのでしょうか?ちょっと危険です。歌手も
命がけです。
 演出もわかりやすく,第2幕でヴォータン
が落ち込んでいる様子や,第3幕でブリュ
ンヒルデを罰する前に,床にへたり込んだり
と,心情が視覚的に表されていました。また,
寝転んで,プライド系の格闘技のグランドポ
ジション,あるいはアリキック状態が多かっ
たです。立ったまま何十分も歌いっぱなし,
ということは極力避けていたようです。
 左寄りの席なので,第1ヴァイオリンやコ
ントラバス等は,昨日よりも良く聞こえました。
何しろ,左右で最大20mは離れているので
す。右端のトライアングルが,左から聞こえ
てびっくりしました。左の壁からの反射音が
聞こえているようです。そういえば,歌手の
声も壁からの反射音が大きいようです。で
なきゃ100人近い編成のオーケストラと,張
り合えるはずがありません。歌手は皆,声
量,音程とも十分で,フラットすることはあり
ませんでした。
 前回のベルリンドイツオペラでは,第3幕
前奏曲で,金管がカノン状態になり,今回,
心配して聞きましたが,何事もなく,無事演
奏されました。この部分は,それほど音圧
は高く感じません。第1幕後半や,第2幕の
なかに,大音量がありました。CDで聞いて
も割れるような大音量の所は,生でも大音
量です。要はフレッチャ−・マンソン効果?
耳につく,中高音が多いところで,最大音
量に感じます。テノールの絶叫,トランペッ
トの強奏など...ラインの黄金では,家の
装置が,低音不足に感じないと思いました
が,家で再生チェックしたところ,バスチュ
ーバが根本的に出ていないと感じました。
生では独特のものすごい音です。リミッタ
ーが利いて,もともソフトに入っていない?
 家の装置では,女性が「ジークフリート」
「ジークムント」と,フォルテで歌うところが,
どうしても「ゾ−クフリート」「ゾークムント」
に聞こえます。子音が出ないのです。生で
は,少しはっきりしない面もありますが,子
音はしっかり出ていました。
明日以降,「ジークフリート!」を女性が絶
叫する場面が多いので,さらに確認をした
いと思います。
 
 
 

3.第2夜「ジークフリート」
 
 指揮  ダニエル・バレンボイム
 演出  ハリー・グプファー
 
 ジークフリート−−−クリスティアン・フランツ
 ミーメ−−−グレアム・クラーク
 さすらいの旅人(ヴォータン)−−−ファルク・シュトルックマン
 アルベリヒ−−−ギュンタ−・フォン・カンネン
 ファフナー−−−ドゥッチョ・ダル・モンテ
 エルダ−−−メテ・アイシング
 ブリュンヒルデ−−−デボラ・ポラスキ
 森の小鳥−−−天羽明恵
 

ベルリン・シュターツカペレ
 

平成14年1月19日(土) PM4:00開演

Hanszackメモ

・楽器編成,使用楽譜など
ハープは4台に縮小,第3楽章前奏曲のバ
レンボイムのスコアには,トランペット部に
えんぴつで○がしてあり,pと書かれていま
した。コンサートマスターのパート譜には,
えんぴつでボウイング(Vや┏┓)が,書か
れていました。
 

 

 今回は,座席が前から26列,左から28
番目(全54席)です。舞台幅が20m,オー
ケストラピット幅が25〜30m,舞台前端
から25m位の距離のまん中の席なので,
ステレオで言うところの正3角形の頂点の
理想的リスニングポジションとなります。
 一昨日の「ワルキューレ」では,クラッシ
ックでは珍しい,ダフ屋が出ていて,一方,
「ジークフリートE席売ります」のプラカード
を掲げている人もいましたが,今回ダフ屋
はなし,しかし,「ジークフリートなるべく安
く売ってください」,のプラカードを掲げてい
る人がいました。一体どうなってるの?
 第1幕は,ミーメが金床をたたいて始まり
ます。歌手が本当にたたいているようでした。
また,舞台いっぱいに3階建の櫓が組まれ
ていて,ミーメは動き回ったり,2階にある
金床から転げ落ちたりと,危険な演出でし
た。転落防止柵等は,何も無いのです。
ジークフリートも,最後のほうで金床をたた
きますが,あまりうまくなかったようです。
歌いながら速い付点音符をたたくのは,と
ても難しいです。中央には巨大な風洞実験
に使うようなファンがあり,ふいごを表して
います。ジークフリートが最後に,ノートング
で金床を割る場面では,このファンが折れ
ました。
 第2幕は,銀色の朽ちた老木のようなもの
が,床にころがっていて,ファフナーが口を
あける場面では,舞台奥半分が持ち上がり
ました。舞台上方に横に空洞化したトネリコ
の老木らしきものが横たわっており(ライン
の黄金,ワルキューレなどでも同様なもの
がありました。),ジークフリートとファフナー
が戦っている間,さすらい人がこの中にいて
森の小鳥を放していました。羽をぱたぱた
させて飛んでいましたが,オペラグラスで見
ても,糸が見えませんでした。小鳥の声は日
本人と思われる,天羽明恵(amou akie)さ
んで,舞台左袖で歌っているようでした。大
蛇のファフナーは,スピーカーから鳴ってい
るようでした。ファフナーの心臓にノートング
が刺さると,舞台前面左右から,巨大な枯れ
木が大音響とともに倒れて来たのは,「ワル
キューレ」第2幕第2場で経験済みでしたの
で,あまり驚きませんでした。カーテンコール
では,ミーメのグレアム・クラークは人気があ
りました。天羽明恵さんも,黒いドレス姿で答
えていました。非常にしっかりした声で,他の
歌手と比べて遜色ありませんが,やはり日本
人は小柄というかドイツ人がでかいというか,
舞台で活躍するのは難しいのでしょうか?
 第3幕は,炎を表す奥の格子状ネオン管
にジークフリートがよじ登り,床下の奈落ま
で飛び降りる危険なパフォーマンスを見せ
ていました。
 音質ですが,中央の理想的ポジションです
ので,弦も管もよく聞こえます。ジークフリート
の吹く葦笛ですが,イングリッシュホルンは
オーケストラピット中央奥,やや右だったと思
いますが,もっと右寄りから聞こえました。壁
の反射か,舞台裏で吹いていたのか?ファフ
ナーを起こしてしまうホルンは,舞台左奥から
聞こえました。オーケストラピットの幅が30m
位あるので,時間差も相当あるのでしょう。
両端で0.09秒位の時間差があるはずです。
聞く位置で音が変わるのは当たり前です。オ
ケと動き回る歌手の声を録音することの難し
さが想像されます。歌手の声は強烈で,声帯
を分割振動させて,矩形波のような成分を発
しているのではないか?と思いました。あるい
は,左右のホーン状に広がる壁の反射をうまく
利用しているのか?トランペットは4本(内1つ
はバストランペット?)で,せまいオーケストラ
ピットに押し込められ,楽譜に向かって数10
センチの距離で吹いていたのではないでしょ
うか?これが鳴ると,他の音はかき消してしま
います。すぐとなりの第2ヴァイオリン奏者や,
前のヴィオラ奏者の耳が心配です。
 以前から気になっていた,女声の「ゾ−クフ
リート」ですが,第3幕第3場 ,最後のほうで
ブリュンヒルデが「私は今あなたのものかしら,
ジークフリート,ジークフリート」と歌う場面で
確認しました。最初の「ジークフリート」はかな
り強いフォルテですがそのままに聞こえ,次の
「ジークフリート」は,さらに強いフォルテッシモ
位で「ゾ−クフリート」に聞こえました。発声方
法がそうなのかも知れません。
 バレンボイムの指揮ぶりも見えました。あま
りカッコいい方ではありませんが,クライマック
スでは,多分,指揮台から立ち上がって大き
な身振りでオーケストラや歌手にキューを出し
ていました。
 翌日,家の装置がハイ上がりで,中音不足
ではないかと,早速調整しました。ツイーター
側のアンプのヴォリュームを,8dBも絞りまし
た。声とヴァイオリンにフォーカスを合わせた
つもりですが,やはり生の声に比べて,ヴェー
ルがかかってしまいます。
 
 
 

4.第3夜「「神々の黄昏」
 
 指揮  ダニエル・バレンボイム
 演出  ハリー・グプファー
 
 ジークフリート−−−クリスティアン・フランツ
 グンター−−−アンドレアス・シュミット
 ジークフリート−−−クリスティアン・フランツ
 アルベリヒ−−−ギュンタ−・フォン・カンネン
 ハーゲン−−−ドゥッチョ・ダル・モンテ
 ブリュンヒルデ−−−デボラ・ポラスキ
 グートルーネ−−−カローラ・ヘーン
 ヴァルトラウテ−−−ワルトラウト・マイヤー
 運命の女神1−−−メテ・アイシング
 運命の女神2−−−ローズマリー・ラング
 運命の女神3−−−キルシ・ティーホネン
 ヴォークリンデ−−−カローラ・ヘーン
 ヴェルグンデ−−−カタリーナ・カンマーローアー
 フロースヒルデ−−−アンドレア・ベーニッヒ
 

ベルリン・シュターツカペレ/ベルリン国立歌劇場合唱団

合唱指揮:エルバート・フリードリッヒ
 

平成14年1月23日(水) PM4:00開演

Hanszackメモ

・楽器編成,使用楽譜など
ハープは5台に拡大,演奏者は意外と,男
性3女性2人です。音は非常に小さいです。
第1幕では鉄琴,第2,第3幕では,その代
わりに小太鼓が追加されていました。ティン
パニは3台,演奏者1人,バチは大小18本
も用意していました。音叉を使ってチューニ
ングしていました。オーケストラピット転落防
止柵は,金属製でティンパニが練習で小さ
い音をたたいても,盛大に振動していました。
オーディオマニアがみたら,嘆きそうな代物
です。コンサートマスターは,前3夜と違う人
に変わっていたように見えましたが???
楽器は黒檀を使ったもので,板は古そうでし
た。女性は弱音器を付けて,男性は付けず
に練習していました。トランペットはロータリー
×3,バストランペット×1です。
 

 今回は,座席が前から24列,左から48
番目(全54席)です。右寄りの通路沿いの
ためか,ティンパニの強打で靴が振動しま
した。金管楽器もよく聞こえました。ただ,
右側面の舞台装置が全く見えません。
 プロローグは暗い背景に光る綱が左奥
から張られていて,根元から切れて落っこ
ちるものでした。ブリュンヒルデの岩屋は
まん中に囲いがせりあがり,その前で歌
うので,反射がきいてものすごい音圧で,
気持ち悪くなりました。ホルンはオケピット
と舞台裏とでかけあいをしますが,結構,
とっちらかっていました。「ホルンは,ヴァ
イオリンとは違うんだ!ワーグナーのばか
〜」というリヒャルト・シュトラウスの父の声
が聞こえてきそうです。ライン川を表す,
青緑のレーザー光線を使っていました。
第3場への間奏では,ピアニッシモの状態
で,携帯電話の呼び出し音楽が鳴ってい
ました。ちなみに,小生のPHSは会場内で
は受信できませんでした。
ヴァルトラウテの登場する場面では,嵐の
音はスピーカーを通した効果音でした。こ
こは眠くなる場面ですが,字幕があるので,
結構楽しめました。
 字幕は両サイドに縦に表示する緑の電
光掲示板で,暗いためよく見えません。訳
は小生が使用している渡辺護の訳と,大
分違っていました。「ラインの黄金」第4場
で,アルベリヒが指輪を要求される場面で
渡辺訳では「手でも頭でも,目でも耳でも,
この指環ほどには,おれのものだと思って
ないよ!」とありますが,「手や頭や目や耳
と同じように,指環はおれの体の一部だ」と,
いうような訳でした。「ジークフリート」第1
幕で,ミーメの「欲望の洞穴」が「恨みの洞
穴」,「神々の黄昏」第1幕第3場のヴァル
トラウテの「ホルダのリンゴ」が「フライアの
リンゴ」と言った,あんばいです。
 第1幕最後の,ジークフリートの隠れ兜
は,金色のマジックミラーのようなもので,
反射で目がちかちかしました。「ラインの
黄金」でもそうでしたが,ヴォータンやハ
ーゲンの槍はピカピカ光って,目の前が
ぱかぱかしました。
 第2幕は櫓が組まれ,上部構造物に3
機のパラボラアンテナ状のものが,あり
ました。フリッカ,ヴォータン,フローを祭
る祭石か?ブリュンヒルデは,担架に乗
せられて登場,トドみたい(失礼)でした。
デボラ・ポラスキは巨大で,ちょっとイー
デス・ハンソンさんに,似ていました。
 第3幕は,矩形の穴がたくさん空いた
波板状のものが斜めにせりあがり,穴か
らラインの乙女が出たり入ったりして,楽
しめました。ジークフリートは刺されてか
ら永いこと反撃姿勢を示し,葬送行進曲
のテュッティで死にました。ヴォータンが
登場して,ジークフリートに折られた槍を
奥に捨てました。ヴォータン役は最後ま
で休めずに,大変です。ジークフリートの
遺骸は,奥の台座に寝かされていました
が,ブリュンヒルデの最後の見せ場が,
この奥になったため,声が引っ込んでし
まいました。終末は何かとんでもない仕
掛けを期待してしまいましたが,特にか
らくりは無く,男女の子供が出て来て,
矩形の穴に小さな木のようなものを,差
しました。さらに,アルベリヒが,最後に
登場しました。白い煙がまん延し,会場
が臭くなりました。
 ジークフリートの葬送行進曲ですが,特
にクライマックスをここに持って来ている,
とは感じませんでした。全部,全力でやっ
ていて,手抜き無しという感じです。1作
づつ聞いてもいいように演奏していたよ
うです。
 バレンボイムは小柄で,舞台に整列した
楽員の中でも,隣の女性オーボエ奏者より
10cm位,小さかったです。
 声楽の音質は,基音部分がオーケストラ
にマスクされて,倍音成分だけが聞こえる
ように感じました。ただし,歌手が小生の方
を向いて,オーケストラが小音量の場合は,
基音の低い音も少し聞こえます。CDなどは
ライブ録音とはいっても,声の部分を近接
マイクで別録りして,ミックスしていないでし
ょうか?音質が明らかに違います。
 1階では,山野楽器がCD等を売っていま
した。バレンボイムのバイロイトでの「ジー
クフリート」のLDがありました。DVDで,是
非,再発売してほしいです。
 4日間,演奏前にオーケストラピットを覗
いて来ましたが,バスクラリネット,トロンボ
ーン,バスチューバ,ティンパニ類は,近
接距離で聞くと,甲高い音で,CDなどの
音に近いと思います。しかし,座席で聞く
と,一種異様な低音の迫力が出ます。録
音エンジニアには,強く,遠距離でのマイ
クセッティングの録音をお願いしたいです。
会場ノイズ,マイク感度の問題から,商品
として成り立たない?...
 

 最後に,長岡鉄男氏が,人のAV情報処
理能力について,言っていましたが,人間
の能力が100あったとして,氏は画質40,
内容30,音質30位で視聴しているそうで
す。全部100は無理だそうです。今回の
指環では,小生は視覚30,字幕40,音
質30位でした。あまりにも情報量が多くて,
処理しきれない心残りもあります。聞いた
後,1〜2時間もすれば,記憶が薄れて...
DATで録音させてくれ〜〜〜!!!

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